線維化部位の面積測定で気づいたこと

最近、肺、肝臓、腎臓、皮膚、移植臓器などで、線維化病変を伴った疾病について様々な研究が行われています。

当社にも線維化の評価や線維化の程度を定量的に評価したいとの相談がかなり増えました。

そこで今回は、線維化病変の定量的評価についての話です。

 

線維化を可視化する染色方法はいくつかありますが、一般的にマッソントリクローム染色(以下、MT染色)が広く用いられています。

ただ、このMT染色での正確な定量化はかなり難しい方法だということがわかりました。

下の写真はMT染色によってコラーゲン陽性部位が紺色に発色した部分を、画像解析ソフトで抽出したものになりますのでご覧ください。

核がほぼ同じ色調で染色されており、線維化と考えられる部位と区別できていいません。

そこで私たちは「シリウスレッド染色」をお薦めするようにしています。

シリウスレッド染色はMT染色と同じようにコラーゲンの局在を可視化する方法ですが、コラーゲンが存在する部位のみが赤色に染色され容易にコラーゲンすなわち線維化部位の観察が可能になります。

左:シリウスレッド、右:マッソントリクローム(MT)染色

 

また、「より正確で(定量的)で迅速に病理変化を解析する」を目的に、画像解析ソフト『HALO』を導入しましたが、これがなかなか優れものでした。このソフトの最大の特徴は、バーチャルスライドの画像と組み合わせることでスライド上の組織全体を解析できるということです。

HALOを導入するまでは、私たちもJPEG方式などで切り抜いた画像データ(ROIを設定)で解析していました。

しかし切り抜いた場所(領域)や測定者の主観が入って測定値が大きく変わってしまい、いつもほんとうに悩ましい状態でした。

*赤枠が切り抜いた場所

測定範囲の設定が難しい! 選んだ場所によってデータが違ってしまう。。。

 

一方HALOでは、スライド上の組織全体で解析できますので、より客観的な解析結果が得られます。

↓組織全体で定量解析可能!

 

バーチャルスライドとHALOの組み合わせが、今後の組織染色を用いた定量的評価のスタンダードになると考えています。

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