細胞を切って見る(セルカルチャー インサート 篇)

最近、細胞培養の技術や方法も多種多様になってきました。

当社にも細胞を染色したいというご要望が、ここ数年で何倍にも増えています。その中の一つ、下記写真のセルカルチャー インサートを用いて培養した、3D培養細胞の解析方法について今回はお話ししたいと思います。

カルチャー1カルチャー2

 

 

 

 

 

 

 

セルカルチャー インサートはご存じのとおり色々なメーカーが販売しています。様々な材質や特性のメンブレンを足場にして細胞培養するのですが、それを縦方向、つまり厚さ方向に切って、切片にして免疫染色やISHまで行うことができます。

上から透過型電子顕微鏡などで解析するのは一般的ですが、切ることで横から、つまり厚さ方向でみると、これまた面白い見え方になります。

 

PCやPSなどが材質のメンブレンごと切れるの?と、意外と知らない方も多いのですが、ウエルからカップを取り出し、細胞ごと丁寧に切りだしてメンブレンごとパラフィン包埋を行います。するとメンブレンに細胞が付いた状態で、パラフィンブロックからパラフィン切片にできます。

各種細胞サンプルをパラフィン切片にする時の手順表を下記に纏めてみました。

下記表で「シート状」と記載しているのがセルカルチャーインサートです。

各種細胞サンプルをパラフィン標本にする手順

セルブロック

ポイントは、

・切り出した細胞が張り付いたメンブレンを、キムワイプやろ紙、和紙などで丁寧にこすれないように包んであげて、包埋用カセットに入れます。この作業を行わないとパラフィン包埋時にメンブレンが丸まったり、細胞がバラバラになります。

詳しくお知りになりたい方はこちらの参考本をご覧ください。https://www.yodosha.co.jp/yodobook/book/9784758122375/

・パラフィン包埋時は、圧が掛らない装置がお奨めです、細胞がバラバラになる危険性が高くなります。(ちなみに当社のパラフィン包埋装置CT-Pro20は細胞包埋に最適です)

・綺麗な切片を作製するにあたり、ミクロトームは刃の入り方が良い滑走式タイプがお奨めです。(ロータリータイプの刃は、押し切りになり、切り難い場合があります)

 

その染色一例を載せました。

【セルカルチャー インサートで培養した細胞染色例】

HE染色 -組織:マウス ES細胞-

ES細胞 染色

HE染色 -組織:子宮上皮細胞+スフェロイド細胞の共培養-

スフェロイド細胞 HE染色

ヒト3Dモデル培養細胞のISH

ヒト3Dモデル培養細胞

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